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基礎知識

労働安全衛生法について|塗装現場での有機溶剤管理の基礎知識と対応策

公開日:2026.10.16

「有機溶剤を含む塗料を扱っているけれど、法令に対応できているかどうかわからない……」とお悩みではありませんか?

塗料などに含まれる化学物質の管理に関係する法令には、労働安全衛生法をはじめ、有機溶剤中毒予防規則(有機則)や特定化学物質障害予防規則(特化則)などがあります。

また、SDSの確認やリスクアセスメントの実施など、事業者が取り組むべき事項は多岐にわたるため、自社が適切に対応できているか不安に感じる方も多いでしょう。

本記事では、労働安全衛生法の概要と、塗装現場で関係する主な法令や用語を解説します。

化学物質の管理を進めるための具体的な手順も紹介しますので、自社の対応状況を確認する際にお役立てください。

まず整理|塗装現場で関係する労働安全衛生法とは

労働安全衛生法とは、労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とした法律です。

事業者には、労働災害を防止するための措置を講じることが求められています。

化学物質を取り扱う現場では、物質の危険性や有害性を把握し、作業者が安全に働けるように管理することが大切です。

塗装現場では、塗料やシンナーに含まれる有機溶剤を吸入したり、皮膚に付着したりすることで、健康障害が発生するおそれがあります。

また、物質によっては引火や爆発の危険性もあります。

こうしたリスクを低減するため、労働安全衛生法に加え、対象となる化学物質に応じた法令が定められているのです。

塗装現場で関係する主な法令

塗装現場では、化学物質の種類や使用方法に応じて、複数の法令が関係します。

  • 有機溶剤中毒予防規則(有機則)
  • 特定化学物質障害予防規則(特化則)
  • 女性労働基準規則(女性則)
  • 化学物質排出把握管理促進法(化管法、PRTR法)
  • 毒物及び劇物取締法(毒劇法)

それぞれ目的や対象が異なるため、法令ごとの内容を理解し、自社の取り扱い状況に照らし合わせて確認することが大切です。それぞれの概要を確認していきましょう。

有機溶剤中毒予防規則(有機則)

有機溶剤中毒予防規則(有機則)は、有機溶剤による健康障害を防止するために定められた規則です。

塗料やシンナーには、トルエンやキシレンなどの有機溶剤が含まれていることが多く、これらの物質を取り扱う作業では、蒸気を吸入することで頭痛やめまいなどの症状が生じるおそれがあり、作業者の長期的な健康にも配慮する必要があります。

有機則の対象となる物質を取り扱う場合、作業内容や設備の条件に応じて、局所排気装置などの換気設備の設置、作業環境測定、健康診断、保護具の使用などが事業者に義務付けられています。

塗装現場では、使用している塗料やシンナーのSDSを確認し、有機則の対象となる物質が含まれているかを把握することが大切です。

参考記事:有機則とは?対象となる事業者や有機溶剤取扱い時の義務について解説

特定化学物質障害予防規則(特化則)

特定化学物質障害予防規則(特化則)は、健康障害を引き起こすおそれのある特定化学物質による労働者の健康被害を防止するための規則です。

対象となる物質には、発がん性などの有害性が問題となるものが含まれます。

特化則の対象となる場合は、有機則と同様に設備の設置や作業方法の管理、作業環境測定、健康診断などの対応が事業者に義務付けられています。

有機則と特化則では、規制の対象となる物質が異なりますが、事業者が講じるべき義務はほぼ同様です。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

参考記事:有機則と特化則の違いをわかりやすく解説!定められた義務を確認

参考記事:最近よく聞く『特化則』って何?? 何のための規則なのか解説致します!

女性労働基準規則(女性則)

女性労働基準規則(女性則)は、女性労働者の妊娠や出産に関わる健康を保護するため、就業が制限される業務などを定めた規則です。

化学物質を取り扱う作業についても、対象となる物質や業務によっては、女性労働者の就業が制限される場合があります。

塗装現場では、使用している化学物質の種類や作業内容を確認し、女性則に基づく就業制限の対象となるかを確認することが大切です。

参考記事:女性労働基準規則(女性則)とは?見落とされがちなリスクと対策

化学物質排出把握管理促進法(化管法、PRTR法)

化学物質排出把握管理促進法(化管法)では、対象となる化学物質を取り扱う事業者のうち、一定の要件を満たす事業者には、化学物質の環境への排出量や廃棄物などに含まれる移動量を把握し、国に届け出ることが求められます。

PRTR法とも呼ばれる法律です。

ただし、化学物質を取り扱う事業者すべてに届出義務があるわけではありません。

対象物質の取扱量や事業者の業種、従業員数などの条件を確認する必要があります。

毒物及び劇物取締法(毒劇法)

毒物及び劇物取締法(毒劇法)は、毒物や劇物による保健衛生上の危害を防止するための法律です。

塗料や洗浄剤などの中には、毒物や劇物に該当する成分を含む製品があります。

毒物や劇物を取り扱う場合は、対象物質に応じて、適切な保管や表示、盗難・紛失の防止などの措置が必要です。

ミドリ商会には、毒物劇物取扱者の資格を持つ社員がいますので、毒物・劇物の適切な管理についてお困りの方はお気軽にご相談ください。

塗装現場で関係する主な用語集

化学物質の管理を進めるうえでは、法令だけでなく、関連用語を理解することも大切です。

ここでは、塗装現場で特に押さえておきたい以下の用語を紹介します。

  • SDS(安全データシート)
  • リスクアセスメント
  • 作業環境測定
  • 局所排気装置
  • 化学物質管理者

SDS(安全データシート)

SDS(安全データシート)とは、化学物質や化学物質を含む製品の危険有害性や、取り扱い上の注意事項などを記載した文書です。

塗料やシンナー、洗浄剤などを使用する際には、SDSを確認することで、含有成分や危険有害性、必要な保護具、保管方法、応急措置などを把握できます。

特に重要なのが、製品に含まれる化学物質の種類と危険有害性です。

製品を新たに導入する際や、使用中の製品を変更する際には、SDSを入手して内容を必ず確認しましょう。

参考記事:化学物質の有害性の確認はラベルとSDSをチェック!詳しい見方を解説

リスクアセスメント

リスクアセスメントとは、化学物質の危険性や有害性を特定し、労働者への健康障害や事故のリスクを評価したうえで、必要な対策を検討する取り組みです。

塗装現場では、塗料やシンナーに含まれる化学物質の有害性だけでなく、使用量や作業時間、換気の状況、作業者のばく露状況などを考慮する必要があります。

リスクアセスメントの結果に応じて、危険有害性の低い製品への変更、換気設備の改善、作業方法の見直し、保護具の適切な使用などを検討することが大切です。

参考記事:リスクアセスメントは事業者の義務!概要や実施の手順を解説

作業環境測定

作業環境測定とは、作業場の空気中に含まれる有害物質などの濃度を測定し、作業環境の状態を評価することです。

塗装現場では、有機溶剤や特定化学物質など、人体に有害となるおそれがある物質が存在しているケースが多く、作業環境測定によって、作業場の空気環境を把握する必要があります。

有機則や特化則の対象となる作業場では、法令で定められた条件に該当する場合、定期的な作業環境測定が事業者の義務です。

参考記事:作業環境測定って何?必要となる作業場や実施の流れをわかりやすく解説

参考記事:作業環境測定は義務!正しく実施しないことによるリスクを解説します

局所排気装置

局所排気装置とは、作業中に発生する有害なガスや蒸気、粉じんなどを発生源の近くで捕集し、屋外などへ排出するための換気設備です。

塗装現場では、塗料やシンナーに含まれる有機溶剤の蒸気が発生することがあり、局所排気装置を適切に運用することで、作業者が有害物質を吸入するリスクを低減できます。

以下の記事では、局所排気装置とプッシュプル型換気装置の違いについて解説していますので、参考にしてください。

参考記事:局所排気装置とプッシュプル型換気装置の違いについて

化学物質管理者

化学物質管理者とは、企業が化学物質を自律的に管理するためのリーダー的存在です。

取り扱う化学物質の危険有害性の把握や、リスクアセスメントの実施、結果に基づくばく露防止措置の検討など、化学物質の管理に関する業務を担います。

塗装現場では、使用する塗料やシンナーのSDSを確認し、危険有害性や必要な対策を整理することが、化学物質管理者には求められます。

参考記事:化学物質管理者の選任が義務化!職務をわかりやすく解説

何から始めればよい?塗装現場での対応の進め方

塗装現場で化学物質の管理を進める際は、使用している製品と作業内容を把握し、必要な対策を順番に整理することが大切です。

  • STEP1 使用している化学物質を整理する
  • STEP2 SDSを確認する
  • STEP3 リスクアセスメントを実施する

ここでは、基本的な対応の流れを3つのステップに分けて紹介します。

STEP1 使用している化学物質を整理する

まずは、現場で使用している化学物質を整理しましょう。

塗料やシンナーだけでなく、洗浄剤や脱脂剤など、作業で使用する製品を幅広く洗い出すことが大切です。

製品名や使用量、使用場所、作業内容などを一覧にしておくと、管理すべき化学物質を把握しやすくなります。

また、使用する製品が変更された場合や、新たな製品を導入する場合には、その都度情報を更新することが大切です。

STEP2 SDSを確認する

使用している製品を整理したら、それぞれのSDSを確認しましょう。

SDSでは、含有成分や危険有害性、必要な保護具、換気方法などを確認できます。

特に、法令の対象となる化学物質が含まれているか、リスクアセスメントの対象となるかを確認することが大切です。

SDSを見てもリスクアセスメントの対象物質が含まれるかどうかわからない方は、以下のツールで簡易判定ができますので、ぜひご活用ください。

■リスクアセスメント対象物質を使っているかを30秒で判定「SDS簡易判定ツール」

STEP3 リスクアセスメントを実施する

SDSで化学物質の危険有害性を把握したら、実際の作業内容に応じてリスクアセスメントを実施しましょう。

化学物質の有害性だけでなく、使用量や作業時間、換気設備の状況、作業者のばく露状況などを考慮し、リスクを評価します。

評価結果に応じて、使用する製品の変更や換気設備の改善、作業方法の見直し、保護具の適切な使用などを検討することが大切です。

リスクアセスメントの実施にあたっては、外部の専門家に支援を依頼することもできます。

ミドリ商会では「リスクアセスメント代行パッケージ」や「リスクアセスメント簡易プラン」を提供していますので、ぜひご活用ください。 

■サービスページ:『リスクアセスメント代行パッケージ』

■サービスページ:『リスクアセスメント簡易プラン』

必要に応じて専門会社へ相談することも大切

化学物質の管理では、SDSの確認やリスクアセスメントだけでなく、換気設備の検討や作業環境の改善など、専門的な知識が必要となる場面もあります。

「どの法令が適用されるのかわからない」「リスクアセスメントの進め方がわからない」「換気設備を見直したい」といった悩みを抱えている場合は、自社だけで対応しようとせず、専門会社への相談も検討しましょう。

専門会社に相談することで、現場の状況に応じた改善策を検討しやすくなります。

また、化学物質の管理は、一度対策を実施すれば終わりではありません。

使用する製品や作業内容の変更に応じて、継続的に管理体制を見直すことが重要です。

塗装現場のお困りごとはミドリ商会と一緒に解決しましょう!

塗装現場で化学物質を安全に取り扱うためには、関係する法令を理解し、使用する製品の危険有害性や作業環境に応じた対策を講じることが大切です。

しかし、法令の適用条件や必要な対策を自社で判断するのは、難しい場合もあります。

ミドリ商会では、塗装現場の化学物質管理や作業環境の改善に関するお悩みを解決するため、現場の状況に応じた改善策を提案していますので、お気軽にお問い合わせください。

化学物質を適切に管理し、作業者が安心して働ける塗装現場づくりを一緒に進めていきましょう。

Supervised By / 監修

水野 雄介 (みずの ゆうすけ)

株式会社ミドリ商会専務取締役

明治大学 商学部を卒業後、求人広告運営会社の営業として、企業の採用活動の支援を行う。退職後、家業であるミドリ商会に入社。
自身が取り扱う塗料を使用したお客様が「有機溶剤中毒」で亡くなる経験をきっかけに、ヒトと環境の健康について深く考えるようになる。2025年に「ミドリ2.0」を掲げ、有害性の低い健工塗料®を普及させるという塗料業界の常識を打ち破るべく挑戦中。