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塗料ブログ

2023.11.07

リスクアセスメントは事業者の義務!概要や実施の手順を解説

「リスクアセスメントって、絶対にやらないとダメ?」とお悩みの方も多いと思います。

結論は必ず実施しないといけません

有機則や特化則などの特別則と違って、リスクアセスメントは未実施でも罰則はありませんが、対象物質を扱う事業者に実施が義務付けられています。

本記事ではリスクアセスメントの概要や実施の手順についてわかりやすく解説しています。

リスクアセスメントについて理解を深めたい方は必見です。

 

リスクアセスメントとは?

リスクアセスメントとは、職場に潜むリスクの大きさを評価するための手法です

職場に存在する危険性や有害性を見つけて、労災や健康被害が発生するリスクを見積り、そのリスクの大きさによって対策の優先順位を決めるために行います。

まずはリスクアセスメントの概要について、以下で確認していきましょう。

2つのリスクアセスメント

リスクアセスメントは大きく以下の2つに分けられます。

  1. 作業に関するリスクアセスメント
  2. 化学物質に関するリスクアセスメント

作業に関するリスクアセスメントは、使用する機械について使用目的や使用条件を確認し、作業や機械の操作で発生するヒヤリハットを洗い出すことで危険要因を特定します。

化学物質に関するリスクアセスメントでは、化学物質を取り扱う事業者が危険性や有害性を特定し、必要に応じてリスクの低減対策を実施しなければなりません

ミドリ商会がメインで取り扱う塗料には有害性がある化学物質が含まれるケースが多いため、本記事では化学物質に関するリスクアセスメントを取り上げています。

リスクアセスメントの対象物質

2023年8月30日現在、リスクアセスメントの実施義務がある対象物質は667種類もあります

今後も追加される可能性があるため、常に最新情報を確認しましょう。塗料と関わりが深い対象物質には以下があります。

  • エチルベンゼン
  • キシレン
  • トルエン
  • イソプロピルアルコール
  • メタノール

以下の厚生労働省のサイトでは、物質名やCAS番号(化学物質の固有番号)から対象物質かどうか検索することが可能です。

参考:厚生労働省職場のあんぜんサイト「表示・通知対象物質の一覧・検索」

リスクアセスメントの必要性

特化則や有機則などで指定されている化学物質のみリスクアセスメントをしておけば大丈夫と考える人もいるかもしれませんが、特別則に該当する物質での労災事例は全体の2割程度しかありません。

つまり残りの8割の労災は特化則や有機則に該当しない化学物質で起こっているのです

化学物質のリスクはまだまだ解明されていないものが多くあります。

作業者の安全と健康を守るためにも、化学物質を扱う事業者は自主的にリスクアセスメントを行い、化学物質のリスクを管理する必要があるのです。

 

リスクアセスメントの手順

リスクアセスメントを行う手順は以下のとおりです。

  • 使用している化学物質を特定する
  • リスクの積算を行う
  • ばく露レベルの判定を行う

それぞれの方法を具体的に確認していきましょう。

使用している化学物質を特定する

まずは塗料などに含まれる化学物質を特定しましょう。

塗料などに添付されているSDS(安全データシート)を確認すると、「組織及び成分情報」という欄があり、そこに製品に含まれている化学物質が記載されています

先ほど紹介した厚生労働省の検索ページから、化学物質名またはCA番号で検索することで、リスクアセスメントの対象物質かどうか確認可能です。

リスクの積算を行う

続いて対象となる化学物質について、どれだけの危険性があるのかを確認するためにリスクの積算を行います

以下の2つが主な方法です。

  • 外部業者に実測を依頼する
  • 支援ツールを使って確認する

前者の方法は外部業者に実際の現場を見てもらい、設備の使用状況の確認や化学物質の濃度を計測します。

より正確なリスクの積算ができますが、コストがかかる手法です。

後者は厚生労働省が紹介するリスクの積算ツールを使います。コントロール・バンディングとCREATE-SIMPLE(クリエイト・シンプル)が有名です。

必要事項を埋めれば、リスクの積算ができるので、比較的簡単かつコストをかけずに対応できます

参考:厚生労働省版コントロール・バンディング

参考:CREATE-SIMPLE

ばく露レベルの判定を行う

リスクの積算が終われば、次に以下1~5で定められているばく露レベルの判定を行います。

  1. 些細なリスク
  2. 許容可能なリスク
  3. 中程度のリスク
  4. 大きなリスク
  5. 耐えられないリスク

2023年10月現在、リスクアセスメントでばく露レベルの判定を行うまでが事業者の義務です。

しかし、法改正があるため、2024年4月以降はばく露レベル3以上の場合、ばく露レベルを2以下に低減させる対策が必要となります

 

リスクアセスメントを行った後の対応

リスクアセスメントを行い、ばく露レベルが3以上だった場合は、作業者の安全と健康の観点からも化学物質の濃度を軽減させる対策が必要です。

主には以下2つが対策となります。

  • 局所排気装置を設置する
  • 対象外の化学物質に変更する

前者の局所排気装置は化学物質を飛散させずに作業場外に排出するための設備です

塗装ブースや換気扇が該当し、物理的に作業場の化学物質を軽減させる対策となります。

後者は塗料の見直しを行い、リスクの低いものに切り替える方法です

例えば、溶剤型塗料から水性塗料に変更すれば、化学物質の含有率を著しく低下させられるでしょう。

 

リスクアセスメントを実施しないとどうなる?

有機則や特化則で義務づけられている対応とは異なり、仮にリスクアセスメントを実施していなくても罰金や懲役などの刑事罰を受けることはありません。

しかし、法律違反には該当するため、労基から行政指導を受けて、最悪の場合は営業停止処分となる恐れがあります

リスクアセスメントの実施は事業者の努力義務のため、罰則がないとは言え確実に実施するようにしましょう。

 

作業者の安全を守るのが事業者の責任!

努力義務で罰則がないため、化学物質のリスクアセスメントを実施していない会社は多いと思います。

しかし、罰則を受けるかどうかではなく、作業者の安全や健康を守ることは、事業者の責任です

化学物質はまだまだリスクがわからないものも多いため、事業者が率先してリスクアセスメントを行い、リスクの評価を行うことが大切です。

ミドリ商会ではリスクアセスメントのご相談から、設備や塗料の切替など幅広くサポートできます。お困りの方はお気軽にお問い合わせください。

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