値上げは絶対必要!塗料業界が永続的に成長していくために大切なこと

近年、塗料業界では価格改定の動きが相次いでおり、「また値上げか…。」と感じられる方も多いでしょう。
しかし結論からお伝えすると、塗料の値上げは“業界を守るために必要なこと”です。
本記事では、塗料が値上がりしている背景と本質についてわかりやすく解説します。
目次
なぜ塗料は値上げされるのか?複合的に上昇するコスト
各メーカーの発表からもわかる通り、値上げの理由は複合的です。
- 原材料価格の高止まり
- 原油・エネルギーコストの上昇
- 物流費の増加(燃料費・ドライバー不足)
- 人件費の上昇
- 容器・梱包資材の値上げ
例えば、物流業界ではいわゆる「2024年問題」により輸送能力が低下し、運賃は上昇傾向にあります。エネルギー価格や為替の影響もあり、塗料の製造コストは継続的に押し上げられているのです。
最近では、中東情勢の影響による「ホルムズ海峡封鎖」で、石油由来の原料の輸入が滞り、塗料やシンナーの価格に大きな打撃を与えています。
参考:溶剤系塗料不足はなぜ起きている?今こそ水性塗料への切替を検討すべき理由
10年前と比較してどう変わったか?数字で見る現実
実際に、以下の項目を10年前と比較してみましょう。
- 物価の上昇
- 人件費の上昇
それぞれを確認すると、塗料の値上げについても納得感が高まります。
物価の上昇
日本銀行が公表する消費者物価指数(CPI)で、有機溶剤や樹脂原料、添加剤が含まれる「化学製品」の項目を見ていきましょう。
2015年を100とすると、2025年には約120~130程度まで上昇しています。
単純に考えると100円で買えていたものが、130円になっているのです。
塗料の主原料そのものが大きく値上がりしている状況で、企業努力だけで吸収するには限界があり、価格改定は避けられない現実となっています。
人件費の上昇
愛知県の最低賃金は、2015年は820円でしたが、2025年は1,140円と約4割近く上昇しています。
製造・物流・販売すべての工程に人件費が関わるため、この上昇は企業経営に直接影響し、塗料の価格につながっているのです。
近年は人手不足の影響も重なり、採用コストや教育コストの増加も企業負担となっています。
これらのコスト増は避けられず、安定した供給体制を維持するためにも、適正な価格改定が求められているのです。
「値上げできない業界」が招くリスク
塗料業界には、競合が多く価格競争になりやすい、エンドユーザーに価格転嫁しにくいといった商習慣があります。
しかし、この商習慣は大きなリスクです。
価格転嫁が進まなかった塗料メーカーが撤退・廃業するケースも出てきており、業界全体の供給力低下につながります。
さらに、原材料メーカーの撤退が進むと供給が偏り、結果として市場価格が一気に上昇するリスクもあるのです。
短期的に値上げできないことで、長期的にはより大きな価格上昇を招く可能性も否定できません。
なぜBtoCでは受け入れられているのに、塗料は難しいのか
ペットボトル飲料や食品の値上げは、広く受け入れられています。
一方で、BtoBである塗料業界では、依然として値上げに対する抵抗感が強いのが現状です。
その理由は様々ですが、コストアップの要因が複雑で内訳が見えにくく、違う商流でも塗料が手に入るということが主な要因です。
しかし、BtoBであっても、適正価格での取引こそが安定供給の前提となります。
前述したとおり、物価や人件費は間違いなく高騰しており、企業努力での価格据え置きは現実的ではありません。
業界を守るために必要な正しい値上げ
私たちミドリ商会は、これまでメーカーからの価格改定を基本的に受け入れてきました。
それは「仕方がないから」という単純な考えではなく、塗料業界全体の持続性を考えた判断です。
値上げには確かにネガティブなイメージがあります。メーカーも商社も、値上げをしたくないというのが本音です。
しかし、品質を維持するため、安定供給を続けるため、技術や人材を守るためには適正な価格改定が不可欠となります。
値上げはコスト増ではなく未来への投資
塗料の価格改定を、単なるコストアップと考えるのではなく、安定供給を維持するため、業界の競争力を保つため、将来の品質を守るための大切な取り組みと考えましょう。
今後、塗料業界が持続的に発展していくためには、ユーザーの皆様にもこの背景をご理解いただくことが必要不可欠です。
ユーザー様に単に値上げをお願いするのではなく、なぜ価格改定が必要なのかという背景を伝えることこそが私たち塗料販売店の使命だと考えています。
今後もミドリ商会では、塗料業界が永続的に発展できるように、情報発信を続けていく所存です。
