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塗料ブログ

2026.08.03

VOCとは?地球の健康を守るための排出量管理について解説

「VOCという言葉をよく耳にするけれど、何かよくわからない…」とお考えではありませんか?

VOCは有機溶剤を含む塗料やシンナーなどから発生します。

作業者の健康管理だけでなく、地球環境への配慮という観点からも重要視されている物質です。

近年は環境規制の強化や企業の環境経営への関心が高まり、自社のVOC排出量を机上の計算だけではなく、実測して把握する取り組みも広がっています。

本記事では、VOCの基礎知識から、排出量を把握する必要性、さらに実際の塗装工場で行ったVOC測定事例まで、幅広く紹介します。

 

VOCとは?

まずはVOCとは何か、以下の2つを確認していきましょう。

  • VOC(揮発性有機化合物)のこと
  • VOCが問題視される理由

VOC(揮発性有機化合物)のこと

VOCとは、「Volatile Organic Compounds(揮発性有機化合物)」の略称です。

常温でも空気中に蒸発しやすい有機化合物の総称であり、塗料やシンナー、洗浄剤、接着剤など、さまざまな工業製品に含まれています。

塗装工場では、塗料を希釈するシンナーや溶剤型塗料に含まれる有機溶剤が、塗装や乾燥の工程で蒸発し、VOCとして大気中へ放出されます。

一般的な溶剤型塗料には20〜40%程度の有機溶剤が含まれており、シンナーはそのほとんどがVOCです。

 

VOCが問題視される理由

VOCと聞くと、人体への影響を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、近年はそれ以上にVOCの「地球環境への影響」が問題視されています。

企業には、脱炭素社会の実現や環境負荷の低減に向けた取り組みが求められており、塗装工程で使用する溶剤の削減やVOC排出量の管理も、その取り組みの一つです。

水性塗料への切り替えや塗装条件の見直しなどによりVOCの排出を抑えることは、化石由来溶剤の使用量削減や環境負荷の低減につながり、地球温暖化対策にも貢献する取り組みとして注目されています。

また、VOCは大気中で窒素酸化物(NOx)などと反応し、光化学スモッグを引き起こす原因物質の一つです。

このような大気環境への影響を抑えるためにも、VOC排出量を把握し、継続的に管理・削減していくことが求められています。

 

なぜVOC排出量を把握する必要があるのか

主に以下の理由により、企業はVOC排出量を把握する必要があります。

  • 環境負荷を把握するため
  • 大気汚染防止法によりVOCの排出規制が設けられているため
  • 取引先からVOC管理を求められるケースも増えているため

それぞれを掘り下げて確認していきましょう。

 

環境負荷を把握するため

「塗料を年間〇kg使用している」という情報だけでは、実際にどれだけVOCが排出されているかは分かりません。

排出量を把握することで、環境負荷の見える化、改善活動の効果確認、将来的な環境対応などにつなげられます。

環境改善も品質改善と同様に、「現状を数値で把握すること」が、第一歩です。

 

大気汚染防止法によりVOCの排出規制が設けられているため

VOCは、光化学スモッグなどの大気汚染の原因となることから、環境省が所管する「大気汚染防止法」によって排出抑制が進められています。

この法律では、一定規模以上のVOC排出施設を設置する事業者に対して、設備の届出や排出基準の遵守が義務付けられています。

参考:環境省『揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制』

例えば、大型の塗装設備や印刷設備など、一定以上の排気風量を有する施設では、都道府県への届出が必要です。

塗装設備では、自動車やトラック、鉄骨などの大型製品を塗装する工場が対象となるケースが多く、設備規模によって適用の有無が決まります。

VOC規制は全国一律ではありません。

自治体によっては、大気汚染防止法よりも厳しい独自の「上乗せ基準」を条例で定めている場合があります。

そのため、自社が立地する地域の基準を確認し、適切にVOCを管理することが大切です。

 

取引先からVOC管理を求められるケースも増えているため

自動車業界をはじめとする製造業では、サプライチェーン全体で環境負荷を低減する取り組みが進められており、塗装工場にもVOC排出量の把握や削減活動が求められることがあります。

こうした企業では、環境監査や取引先評価の中で、VOC排出量の管理状況や改善への取り組みを確認される場合があり、「塗料をどれだけ使用したか」という管理だけではなく、「実際にどれだけVOCが排出されているか」を把握することが、企業の信頼性向上につながるのです。

取引先や社会から選ばれる企業であり続けるためにも、VOC排出量を見える化し、継続的に管理していくことの重要性は今後高まっていくでしょう。

 

VOC排出量を把握する方法

VOC排出量を把握する方法は、大きく分けて以下の2つがあります。

  • 塗料使用量からVOC排出量を算出する方法
  • 排気口で実際のVOC排出量を把握する方法

それぞれを確認していきましょう。

 

塗料使用量からVOC排出量を算出する方法

VOC排出量の管理で最も一般的なのが、塗料やシンナーの使用量から排出量を算出する方法です

塗料メーカーが公表しているVOC含有率や製品情報をもとに計算するため、特別な測定機器を使用せずに管理できます。

日常的な環境管理やVOC削減活動の目標設定にも活用しやすく、多くの塗装工場で採用されている方法です。

ただし、この方法はあくまでも理論上の排出量を算出するものであり、実際に排気口からどの程度VOCが排出されているかまでは把握できません。

 

排気口で実際のVOC排出量を把握する方法

より実態に即した管理を行うためには、塗装ブースの排気口でVOC濃度を実測する方法が有効です。

排気口から排出されるガスを測定することで、実際の設備からどれだけVOCが排出されているのかを数値で確認できます。

実測の大きなメリットは、計算値だけでは分からない実際の排出状況を把握できることです。

例えば、塗装条件や乾燥工程、設備の運転状況などによって、実際のVOC排出量は変化する場合があります。

排気口で測定することで、こうした設備全体の運転状況を含めた排出状況を客観的に確認できます。

実測データは環境改善の基準としても活用が可能です。

現在の排出状況を数値で把握しておくことで、水性塗料への切り替えや塗装条件の見直しなどを行った際に、どれだけ改善効果があったのかを比較・検証しやすくなります。

VOC排出量を見える化することは、環境負荷の低減に向けた継続的な改善活動の第一歩といえるでしょう。

 

塗装工場でVOCを実測した事例

ミドリ商会では、環境分析の専門機関と連携し、実際の塗装工場においてVOCの排気測定を実施しました。

この測定は、お客様からの依頼ではなく、「実際のVOC排出量を把握してみませんか」というミドリ商会からの提案によって実現した取り組みです。

塗装ブースの排気口におけるVOC濃度を測定した結果、測定値は大気汚染防止法の基準値以内であることが確認されました。(自動車部品以外を対象とした塗装設備の基準値は700ppmC以下)

VOCは目に見えないため、感覚だけで管理することはできません。

実測によって現状を把握することは、環境負荷を継続的に低減していく第一歩になります。

※VOC排出量の単位(ppmC)とは?

VOCの濃度は、ppmC(parts per million Carbon)という単位で表されます。これは、排気中に含まれる炭素成分の濃度を100万分の1の割合で示す単位であり、塗装工場などのVOC管理で広く用いられています。

 

ミドリ商会ではVOC排出量の見える化をサポートしています

VOCへの対応というと、水性塗料への切り替えや塗装設備の更新をイメージする方も多いかもしれません。

しかし、その前に重要なのは、「現在どれくらいVOCが排出されているのか」を把握することです。

ミドリ商会では、環境分析の専門機関と連携し、塗装ブース排気口でのVOC測定を通じて現状を見える化し、その結果をもとに塗装工程の改善や環境負荷低減をご提案しています。

工場の健康を守ることは、地球の健康を守ることにもつながります。

VOC排出量の管理についてお悩みの方は、ぜひミドリ商会までお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

水野 雄介 (みずの ゆうすけ)

明治大学 商学部を卒業後、求人広告運営会社の営業として、企業の採用活動の支援を行う。退職後、家業であるミドリ商会に入社。
自身が取り扱う塗料を使用したお客様が「有機溶剤中毒」で亡くなる経験をきっかけに、ヒトと環境の健康について深く考えるようになる。2025年に「ミドリ2.0」を掲げ、有害性の低い健工塗料®を普及させるという塗料業界の常識を打ち破るべく挑戦中。

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