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塗料ブログ

碁盤目試験(クロスカット試験)とは?試験方法や評価基準などを分かりやすく解説

塗料の碁盤目試験と聞いても、よく分からないという人は多いかもしれません。

碁盤目試験は塗料の性能評価の中でも、特に重要です。

本記事では碁盤目試験の概要について、分かりやすく解説します。

碁盤目試験について知りたい方は必見です。

 

碁盤目試験(クロスカット試験)とは?

塗装する目的は「保護・美観・機能」です。

塗料の性能が悪ければ、当然ながら塗装の目的が達成されません。

塗料の性能の中でも、最も重要なのが密着度です。碁盤目試験では塗料の密着度を確認します。

碁盤目試験について、簡単に確認しておきましょう。

塗料の密着性を調べるテスト

碁盤目試験は、塗料を塗った素地に格子状の切り込みを入れて碁盤目を作り、

その上からセロハンテープを貼り、剥がすテストです。

セロハンテープを剥がした後の碁盤目の状態を確認して、塗膜の密着性を調べます。

碁盤目試験は塗膜の密着性を調べるために必要なテストです。

塗料の説明書や仕様書にもテスト結果が記載されています。

JISで定められているテスト

碁盤目試験は、1999年に制定されたJIS K5600「塗料一般試験方法」で規定されているテストです。

旧JIS K5400では100マスの状態を確認していましたが、現在では25マスに簡略化されています。

碁盤目試験に必要な器具

塗料の碁盤目試験を行うためには以下が必要です。

  • 評価する塗料が塗られた試験片
  • カッターナイフ(試験片に切り込みを入れるため)
  • カッターガイド(塗膜に平行線状の切り傷をつけるため)
  • セロハンテープ(塗膜の上から貼って剥がすことによって、強度を評価するため)

カッターナイフとカッターガイドは多重刃カッターと呼ばれる器具で代用されることが一般的となっています。

塗膜に対して一度に多くの切り込みを入れられるため、準備の時間短縮が可能です。

碁盤目試験(クロスカット試験)の実施方法

碁盤目試験を行う方法は、とてもシンプルです。要領さえ分かれば誰でも行うことができるでしょう。

実施方法を下記で確認していきます。

1.塗膜に格子状のカットを入れる

まずは素地に塗った塗膜に格子上のカットを入れていきましょう。

旧JISの方法ではカッターとガイドを使っていましたが、現在は多重刃カッターを使うことが一般的です。

膜厚により、カットする間隔が異なります。

膜厚

カットする間隔

0~60μm

硬い素地:1mm間隔

軟らかい素地:2mm間隔

61~120μm

2mm間隔

121~250μm

3mm間隔

2.セロハンテープを貼って、剥がす

1でカットした碁盤目の上にセロハンテープを貼り、約60°の角度で剥がします

3.剥がれた格子の碁盤目の状態を確認する

セロハンテープを剥がした碁盤目の状態を確認します。以下の表から結果を0〜5に分類し、評価完了です。

数字が小さいほど、塗料の密着度は高いといえます。

※試験規格:JIS K5600-5-6より

 

塗膜の性能を確認する試験

塗料は密着度の他にも、硬度や耐食性、耐衝撃性などが評価されます。

それぞれの代表的な試験方法を、簡単に確認しておきましょう。

鉛筆硬度試験

塗料の硬度を確認するのが鉛筆硬度試験です。

塗膜に6B~HB~6Hの鉛筆を押し当てて、傷をつけることによって、硬度を測定します。

塩水噴霧試験

塗料の耐食性を確認するのが塩水噴霧試験です。塗膜をクロスカットしたワークに塩水をかけて、わざと腐食しやすい環境にします。

クロスカットした部分の観察を行い、塗料の耐食性を確認するためのテストです。

デュポン式衝撃試験

デュポン式衝撃試験では、塗料の耐衝撃性を確認します。

一定の高さから球体の重りを塗膜の上に落とし、塗膜に割れや剥がれがないかどうか確認するテストです。

 

塗料の密着性を上げるコツ

塗装の方法などを意識することで、塗料の密着性を高められます。塗料の密着性を上げるコツを2つ確認していきましょう。

下塗り塗装を確実に行う

塗料の密着性は、塗装する素地の状態が重要です。

上塗り塗料の密着性を高めるためには、下塗り塗装(プライマー)を確実に行いましょう。

プライマーは素地と上塗り塗料の密着度を高めるだけでなく、錆止め効果もあるため、一石二鳥です。

またプライマーを塗る前には、素地をケレンしておきましょう。ケレンによって、素地とプライマーの密着度が良くなります。

■関連記事【ケレンには種類がある?1種、2種、3種、4種の違いをチェック】

2液型塗料を使う

主剤と硬化剤から成る2液型塗料は、1液型塗料と比べて密着性が高いことが特徴です。

1液型塗料は主剤と硬化剤を混ぜる必要がなく、すぐに塗装できますが、密着性や耐久性が劣ります。

塗料の密着性を重要視する場合は、2液型塗料を使うようにしましょう。

 

まとめ

碁盤目試験(クロスカット試験)は塗料の密着度を確認するための試験です。

方法が分かれば誰でも実施することができますが、正しく評価する場合は塗料メーカーや専門機関に依頼する方がよいでしょう。

ミドリ商会では、塗料の評価や切替提案が可能です。

塗料でお悩みの方は、ぜひ一度お問い合わせください。

ミドリ商会塗料コンサルタント水野雄介

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