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塗料ブログ

化学物質は自律的な管理に!労働安全衛生法改正のポイントを解説

「リスクアセスメントの対象物質が増えると聞いたけれども、なんで?と疑問に思われている方もいらっしゃるでしょう。

有機則や特化則で規制されている化学物質は2024年12月現在で129種類ですが、規制されていない化学物質による労働災害も数多く発生しています。

リスクアセスメントは職場の安全を守る第一歩として必要な作業であり、対象物質が徐々に増えているのが実情です

本記事では厚生労働省が発行する『化学物質管理者講習テキスト』の第2章をかみ砕いてわかりやすく解説しています。

記事を最後までお読みいただくと、労働安全衛生法改正のポイントもわかります。

 

個別規制型管理から自律的な管理へ

労働安全衛生法では、これまで化学物質管理について有機則や特化則によって規制する対象物質を定めることで健康被害を防ぐ措置を取ってきました

例えば、エチルベンゼンという物質は有機則の規制対象物質であり、含有量が1%を超える塗料を扱う事業者はさまざまな対策を講じないといけません。

これを「個別規制型管理」と言います。

しかし、冒頭でも紹介したとおり、有機則や特化則で規制されている物質以外での労働災害も数多く発生しているのが実態です。

有機則や特化則で規制されている物質での労働災害は全体の2割程度とも言われています

このような背景もあり、日本における化学物質管理は「個別規制型管理」から「自律的な管理」に移行していく方針です。

化学物質は企業によって取り扱うものが違い、法律の順守だけによる管理には限界があるため、事業者が自主的に管理を行う方向に転換されていきます。

ちなみにイギリスでは1974年に「職場における保健安全法」で自律的な管理が定められました。

従業員から化学物質による健康被害で訴えられた際に、十分な防止対策をしていたと証明できなければ事業者が罰せられるという法律です。

日本も国際基準に合わせる必要があり、今回の方針転換につながっています。

 

リスクアセスメントの対象物質は2026年4月に拡大予定

画像引用:厚生労働省『化学物質管理者講習テキスト』図2.2より

上の画像は現状の化学物質管理の体系を表したものです。

特化則や有機則で規制されている化学物質は上から2つ目の123種類、リスクアセスメント義務がある化学物質は上から2つ目と3つ目を足した674種類となります。

2026年4月からはリスクアセスメントの対象物質は約2,900種類に拡大される見込みです

この2,900種類は国による※GHS分類が行われたもので、ラベル表示とSDS交付も義務となります。

※GHS:化学品の分類および表示に関する世界調和システムのことで、化学物質の危険有害性を世界的に統一された基準に従って分類すること。

 

改正のポイント

2023年4月1日に改正・施行された労働安全衛生法のポイントを以下にまとめました。

リスクアセスメントの強化

  • 対象物質が674種類から約2,900種類に拡大する
  • 対象物質に関する危険性と有害性を評価し、リスク低減措置を事業者が自らが適切に実施しなければならない
  • 事業者は従業員に化学物質の危険性・有害性に関する教育を行い、リスクアセスメントに従業員を参画させなければならない
  • リスクアセスメントの結果や措置の実施状況は記録して保存する

情報伝達の強化

    • 化学物質の危険性・有害性はラベル表示とSDS交付で伝えるのが製造者の義務
  • ラベル表示とSDS交付が義務付ける化学物質も2,900種類に拡大される

自律的な管理のための実施体制の確立

  • 事業場に化学物質管理者を選任することが義務化された
  • 化学物質管理者はリスクアセスメントの実施からばく露防止措置の実施まで全般を管理する
  • ばく露防止措置として保護具を使う場合は保護具着用管理者の選任が義務

その他

  • 作業環境測定結果が第3管理区分に指定された事業場では、作業環境管理専門家からの助言を受けて作業環境を改善しなければならない
  • 保護具を着用する措置を取る場合は1年に1回のマスクフィットテストが義務化

一番のポイントは「個別規制型管理」から「自律的な管理」への移行です。

化学物質管理者は職場で自律的な管理を行うリーダーであり、従業員の健康を守るためにも重要な存在となります

化学物質管理者の職務については、以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご確認ください。

参考記事:化学物質管理者の選任が義務化!職務をわかりやすく解説

 

リスクアセスメントにお困りの方はミドリ商会にご相談ください

化学物質管理が「個別規制型管理」から「自主的な管理」に変わっていくため、まずは企業ごとでリスクアセスメントを確実に実施することが求められます。

しかし、リスクアセスメントの実施は中小企業ではかなりの負担になり、今後対象物質が拡大することでさらなる負担増になることは間違いありません。

もしリスクアセスメントにお困りであればミドリ商会までご相談ください。

専門業者でリスクレベルの把握や報告書の作成を代行する『リスクアセスメント代行パッケージ』をご用意しております

状況に応じて作業環境測定やマスクフィットテストなどもお受けできますので、気になる方はお気軽にお問い合わせください。

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