静電塗装で作業時間とコストを圧縮!メリットと具体的事例を解説
「塗装工程の時間短縮をしたい。」や「塗装に掛かるランニングコストを圧縮したい。」とお悩みではないでしょうか?
静電塗装であれば、お悩みを解決できるかもしれません。
本記事では静電塗装について分かりやすく解説します。塗装に掛かる作業時間とコストを圧縮したい方は必見です。
目次
静電塗装とは?
静電塗装は噴霧状にした塗料を負極(マイナス極)に帯電させ、電気的に塗料をワークに塗着させる工法を指します。
一般的なスプレーガンでの吹き付け方法より塗着効率が良く、工場ラインにおける連続塗装方法によく採用される工法です。
静電塗装の原理
静電塗装にはニードル電極付き静電塗装スプレーガン、高電圧を発生させるためのコントローラ、塗料を供給するポンプなどを使用します。
スプレー先端のニードル電極にマイナスの高電圧を掛けることによって、塗料の粒子がマイナスに帯電することが、最大の特徴です。
アースを取っているワークはプラスに帯電しています。
静電気引力により、塗料の粒子がワークに付着しやすくなるのです。
仮にワークがアースを取れない状況となっていると、静電不良により塗装の品質が落ちるだけではなく、最悪火災の発生など安全面でも危険となりますので、注意しましょう。
静電塗装を行なうメリット
一般的なスプレーガンでの塗装方法から静電塗装に切り替えることで、さまざまなメリットがあります。
静電塗装のメリットを詳しく見ていきましょう。
塗装時間の短縮
静電気引力を利用する静電塗装は、一般的なスプレーガンでの塗装と比べて塗着効率が格段に良くなります。
プラスに帯電したワークは、マイナスに帯電した塗料の粒子を引き付けるので、ワークの裏側にも効率良く塗装することが可能です。
(スプレーガンでの塗装↓)
(静電塗装↓)
「塗料の回り込み」によって、塗装効率が格段に良くなるため、塗装時間を短縮することができます。
コストの削減
静電塗装ではワークへの塗着効率が良くなるため、塗料の使用量が劇的に削減可能です。
一般的なスプレーガンでの塗装の場合、噴霧した塗料はワークに付かないものも多く、ロスが大きくなります。
静電塗装により塗料のロスが減るということは、すなわちコスト削減に繋がると言えるでしょう。
前述した作業時間の短縮も、当然コストに効いてきます。
作業時間の短縮とランニングコストの削減が静電塗装に切り替える最大のメリットです。
環境の改善
塗着効率が上がるということは、作業時間やコストの圧縮以外にもメリットを生み出します。
塗装を行なう作業環境の改善です。
静電塗装では飛散する塗料ミストを削減できます。
塗料には有機溶剤が含まれているケースが多いので、塗料ミストの飛散が少なければ少ないほど、作業環境が良くなると言えるでしょう。
作業者の健康を守ることができるだけでなく、有機溶剤の臭気による近隣住民とのトラブル防止にも役立ちます。
静電塗装の具体的事例
それでは静電塗装に切り替えた際の事例を、数字を見ながら確認していきましょう。
金属製品への塗装を行なっている企業様に、実際に静電塗装のトライをして頂き、コストシミュレーションを実施しました。
■塗料使用量=2,071g→1,731g(16.4%の削減!)
■作業時間=1,769秒→556秒(68.6%の削減!)
実際の費用に換算すると、塗料の購入費用で年間80万円以上、作業費用で約140万円以上のコスト圧縮となります。
特に作業時間は現状より約70%も削減できるので、空いた時間で他の塗装作業を行なうことが可能です。
製品の生産量を飛躍的に増やすことができるので、売上増にも繋がります。
静電塗装を行なう際の注意点
静電塗装は作業時間を短縮でき、塗料コストの圧縮にも寄与します。
しかし、使い方を間違えると効果が出ないどころか、危険が発生することもあるので、注意が必要です。
静電塗装を行う際の注意点を確認しましょう。
静電塗装に向かないワークがある
静電塗装は静電気引力を利用して、塗着効率を上げる塗装方法です。
導電性がないワークは帯電させることができないため、静電塗装には向きません。
具体的に言うと、金属ではない樹脂製品が挙げられます。
樹脂を静電塗装したい場合は、導電性があるコーティング材などを予め塗布する必要がありますが、その分工数が掛かってしまうので、コスト圧縮の効果が低くなると言えるでしょう。
また形状が丸みを帯びているワークの方が、静電塗装による塗料の回り込みが良くなります。
ワーク形状によっても向き・不向きがあると覚えておきましょう。
アースを確実に取る
静電塗装では、塗装するワークのアースを確実に取ることが必要です。
ワークのアースが取れていないと、静電不良により塗着効率が落ちます。
塗料の使用量が異常に増えたり、塗装品質が悪くなったりした場合は、ワークのアース不良を疑いましょう。
ワーク搬送時に使用するフックなどの治具に塗料が付いていると、アース不良が起こりやすいので、小まめに清掃することが大切です。
アース不良は塗装品質が低下するだけでなく、火災事故に繋がる可能性も否定できないため、十分に注意しましょう。
小まめに清掃する
静電塗装ガンやワーク搬送治具は小まめに清掃しないと、塗着効率が低下していきます。
静電塗装時に「塗料の付きが悪い」や「塗料が裏側まで回り込まなくなった」など不具合が出れば、まずは部品の洗浄を行なってください。
空気中にホコリやゴミがある状態で静電塗装をすると、ホコリやゴミも帯電してしまい、ワークに付着する原因となります。
部品と同様に作業環境も日頃から小まめに清掃することを心がけましょう。
まとめ|静電塗装で効率よく塗装しよう
静電塗装は塗装作業を時短でき、塗料購入の費用を圧縮できるなど、さまざまなメリットをもたらします。
静電塗装に使用するスプレーガンやコントローラなどの部品は決して安価ではありません。
しかし、静電塗装に切り替えることで効果が高い現場であれば、すぐに原価償却できる可能性もあるでしょう。
ミドリ商会にお問い合わせ頂ければ、静電塗装への切替提案やデモ機を使った塗装トライなどをご提案可能です。
ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。
またLINE公式アカウントでは定期的に塗料に関する情報発信をしていますので、ぜひご覧ください。