水性塗料を使うメリットとデメリットとは?他の塗料との比較も紹介
水性塗料は作業者や環境に優しい塗料で、建築系の塗料では普及が進んでいますが、工業系ではまだまだ浸透していないのが現状です。
本記事では水性塗料を使うメリットとデメリットについて、わかりやすく解説しています。
記事を読めば、工業系での普及が進まない理由がわかるでしょう。
水性塗料の採用を検討している方は必見です。
目次
水性塗料とは?
水性塗料は溶媒(塗料に含まれる樹脂を溶かして薄める液体)が水で構成されているのが最大の特徴です。
以下でその他塗料の溶媒と比較してみます。
- 水性塗料:水のみ
- 水溶性塗料(水系塗料):水+アルコール系の溶剤
- 溶剤型塗料(油性塗料):有機溶剤
このようにそれぞれで溶媒が異なることがわかります。
溶媒が水のみで構成されている水性塗料は、乾燥過程で臭いが発生しにくく、VOC(揮発性有機化合物)の放出を抑えられるため、作業者の健康や環境に優しい塗料だといえるでしょう。
水性塗料はその安全性と扱いやすさから、屋内の壁や天井、外壁、木工品、金属、プラスチックなど、幅広い素材に使用可能です。
特に子供やペットがいる家庭での使用や、学校、病院などの公共施設の内装に推奨されています。
水性塗料のメリット
水性塗料を採用する主なメリットは以下の3つです。
- 作業者に優しい
- 環境に優しい
- 大量に保管できる
それぞれのメリットを確認していきましょう。
作業者に優しい
水性塗料は溶媒が水のみで構成されており、シンナーなどの有機溶剤を使用していません。
そのため、塗装作業中に有機溶剤の臭気が発生しないのが特徴です。
有機溶剤は吸い込むことで頭痛やめまい、吐き気などの中毒症状が出る可能性がありますが、水性塗料ではその危険性が極めて低いため、作業者に優しいといえるでしょう。
環境に優しい
水性塗料は作業者に優しいだけではなく、環境にも優しいのがメリットです。
溶剤型塗料は乾燥させることで、VOC(揮発性有機化合物)が大量に発生します。
VOCは光化学スモッグの原因になる物質です。高濃度になると大気汚染や健康被害を引き起こす可能性があるため、化管法(化学物質排出把握管理促進法、PRTR法)で排出量の把握が行われています。
VOCの発生が極めて低い水性塗料は、環境に優しい塗料だといえるでしょう。
大量に保管できる
溶媒に有機溶剤を使用しない水性塗料は、引火する可能性が低いため、消防法の規制対象になりません。
消防法の対象となる溶剤型塗料は保管できる量が定められていますが、水性塗料は消防法を気にせずに大量に保管できるのもメリットの1つだといえるでしょう。
水性塗料のデメリット
作業者や健康に優しいというメリットを持つ水性塗料には、以下のようなデメリットもあります。
- 乾燥時間が長い
- 金属部品に密着しにくい
- 耐久性が劣る
それぞれのデメリットを簡単に確認していきましょう。
乾燥時間が長い
溶媒が水でできている水性塗料の最大のデメリットは乾燥時間が長いことです。
溶剤型塗料は揮発性の高い有機溶剤が溶媒であり、乾燥時間が短くて済みます。
水性塗料の場合は、水が蒸発するまで乾燥せず、温度や湿度によっても乾燥時間が左右されやすいのが難点です。
乾燥時間が長いと次の工程に移ることができず、最終的には製品の単価にも影響が出てきます。
金属に密着しにくい
水性塗料は溶剤型塗料と比較して金属部品に密着しにくいというデメリットがあります。
塗料の密着性を高める樹脂は、有機溶剤など強力な溶媒でなければ溶けないものが多く、水性塗料で金属と密着性が高いものは多くありません。
しかし、最近では高機能の水性塗料も商品化されているため、今後は金属との密着性が高い水性塗料も出てくるでしょう。
耐久性が劣る
溶媒に水を使用している水性塗料は、溶剤型塗料と比較して耐久性が劣るものが多いのが現状です。
金属への密着性と同様に、耐久性を左右するのは塗料に含まれる樹脂となります。
溶けにくい樹脂の方が耐久性が高く、溶剤型塗料の方が耐久性の高い塗料を作りやすいといえるでしょう。
しかし、水性塗料の高機能化に伴い、耐久性の高い商品も出てくる可能性が高く、今後の動きに注目です。
水性塗料とその他塗料との比較
水性塗料 | 水溶性塗料 | 溶剤型塗料 | |
コスト | 高 | 中 | 安 |
乾燥性・作業性 | △ | 〇(季節による) | ◎ |
環境や健康への影響度 | ◎ | 〇 | ✕ |
上の図は水性塗料とその他塗料を比較したものです。
水性塗料は環境や健康への影響が少ないことが大きなメリットですが、作業性・乾燥性が良くなく、価格も高いことがデメリットだといえます。
一方の溶剤型塗料は乾燥性・作業性が良好で安価で手に入るのがメリットですが、作業者や環境への悪影響が大きいといえるでしょう。
水性塗料の選び方
水性塗料を選ぶ際には、用途に応じた適切な特性を持つ製品を選定することが重要です。
耐候性や耐久性、光沢の有無など、製品に合った塗料を選ぶようにしましょう。
塗装する素材によっては、下地処理が必要になる場合もあるため、塗料に詳しい専門家に選定してもらう方法がおすすめです。
最適な塗料の提案はミドリ商会にお任せを
水性塗料は技術の進化により、これまでのデメリットであった金属への密着性や耐久性の問題も徐々に改善されつつあります。
今後はより多くのシーンで水性塗料の使用が拡大していくでしょう。
どの塗料を選択するかは、事業において何を優先するかで異なります。
作業者や環境に配慮したいという気持ちはあるけれど、コスト的に難しいというお客様も多いでしょう。
ミドリ商会は、お客様の状況をヒアリングしたうえで最適な塗料をご提案いたします。
水性塗料に限らずご提案が可能ですので、気になる方はお気軽にお問合せください。