局所排気装置の定期自主検査は義務!点検項目と怠った場合のリスクを解説
労基が抜き打ちで監査に来て、局所排気装置の点検について指摘を受ける事業所が増えています。
塗装と切っても切れない設備である局所排気装置は、事業者に対して定期検査が法令で義務づけられており、必要に応じてメンテナンスを実施しなければなりません。
本記事では局所排気装置の点検について、主な点検項目や怠った場合のリスクなどをわかりやすく解説しています。
目次
局所排気装置の点検について
局所排気装置を持つ事業者には、労働安全衛生法で1年以内に1回の定期自主検査が義務づけられています。
点検するにあたって特別な資格があるわけではありませんが、点検者は研修を受けることが推奨されています。
局所排気装置の点検について、まずは概要を確認していきましょう。
1年以内に1回の定期自主検査が義務づけられている
局所排気装置は1年以内に1回、定期的に自主検査を行なわなければならないと、労働安全衛生法で義務づけられています。
定期自主検査をした記録は3年間の保管が必須です。
塗装などの作業場で発生する有機溶剤などを取り除く目的で設置される局所排気装置は、長期間使用すると、排気効率が低下する可能性が高まります。
作業者の安全を守るためにも、定期自主検査は必須だといえるでしょう。
点検者は研修を受けることが望ましい
局所排気装置の自主検査を行うには、専門的な知識が必要です。
「局所排気装置等定期自主検査者研修コース」が各地で行なわれており、この研修を受けた人が点検を行うのが望ましいとされています。
研修は3日間行われ、局所排気装置の知識や関係法令を学ぶ座学と実際にファンやフードを検査する実技に分かれています。
厚生労働省が発行している「局所排気装置の定期自主検査指針」に則った研修であり、受講すれば局所排気装置の点検について網羅的な知識が得られるでしょう。
参考:中央労働災害防止協会「局所排気装置等定期自主検査者研修コース」の案内
局所排気装置の主な点検項目
局所排気装置の点検項目は細かく分けるとかなりの種類がありますが、大きく分けると以下3つとなります。
- フード
- ダクト
- 電気系統
それぞれどのようなポイントで点検するべきか、簡単に解説します。
フードの確認
局所排気装置のフードは、空気の吸い込み口で、有機溶剤を現場に飛散させないために常に一定の吸引力が必要です。
定期自主検査では風向・風量・風速など吸引能力の評価を行い、問題なく性能が出ているかどうかを確認しましょう。
ダクトの確認
フードで吸引した作業場内の有機溶剤などの有害物質は、ダクトを通じて屋外に排出されます。
塗料カスなどの異物が堆積すると、排気能力が低下する可能性も否定できません。
ダクト周りのフランジなど接続部が緩んでいないかどうかも合わせて確認しましょう。
電気系統の確認
局所排気装置の多くは電気で稼働しています。
作動時に異音がないか、制御盤や計器類、配線に異常がないかどうか、テスターなどの機械を使いながら隅々まで確認することが大切です。
引火性の高い塗料を扱う作業場では、電気系統の故障が原因で火災などの重大事故が発生する可能性もありますので、電気系統は特に慎重に確認しましょう。
局所排気装置の定期自主検査を怠るとどうなる?
法令で義務づけられている局所排気装置の定期自主検査を怠った場合、以下のリスクが発生します。
- 火災発生のリスクが高まる
- 近隣へ有機溶剤が飛散する
- 作業者の健康被害を引き起こす
- 労基から是正勧告を受ける可能性が高まる
それぞれのリスクについて、掘り下げて確認していきましょう。
火災発生のリスクが高まる
局所排気装置の定期自主検査・メンテナンスを怠れば、フィルターがどんどん目詰まりしていきます。
フタル酸樹脂塗料など一部の塗料は、塗料カスが空気に触れることで発火する恐れもあり、大変危険です。
多くの塗料に含まれる有機溶剤は引火性が高いものが多く、ボヤ騒ぎでは収まらず大規模な火災になる可能性も高まるでしょう。
近隣へ有機溶剤が飛散する
局所排気装置を設置する目的は、有機溶剤などの有害物質を屋外に排出することです。
屋外に排出するためのダクトが劣化してひび割れなどを起こしていると、意図しない所に有機溶剤が飛散する恐れがあります。
事業所の近隣に有機溶剤が飛散した場合、シンナー臭などでクレームが入る恐れもあるので、注意が必要です。
作業者の健康被害を引き起こす
局所排気装置の定期自主検査が定められているのは、作業者の安全と健康を守るためです。
有機溶剤は人体に悪影響を及ぼすものが多く、適切な排気ができていないと作業者の健康被害を引き起こすリスクが高まります。
有機溶剤による健康被害については、以下の記事でも解説していますので、合わせてご覧ください。
■参考記事:シンナー中毒は塗装作業で起こる?症状や事例、未然に防ぐ方法を解説
労基から是正勧告を受ける可能性が高まる
繰り返しになりますが、局所排気装置の定期自主検査は法律で義務づけられているため、仮に実施していないと労基から是正勧告を受ける可能性が高まります。
是正勧告を受けてもなお改善しない場合、書類送検されるケースもあるほどです。
局所排気装置の点検はメーカーに依頼が基本
局所排気装置の定期自主検査は、研修を受けた人が実施することが望ましいですが、多くの事業所ではメーカーに依頼することが以下の理由により基本となっています。
- 研修を受けるにも費用が発生する(約85,000円)
- 風速計や振動計など高額な計測機器が必要
- 点検に割く工数がない
厚生労働省の指針に則った自主検査を行うためには、専門的な知識が必要なうえに、膨大な工数が必要です。
大手企業も局所排気装置の定期自主検査はメーカーに依頼することが多く、自社で実施している事業者は稀だといえるでしょう。
局所排気装置でお困りであればミドリ商会にご相談を!
局所排気装置の定期自主検査は1年以内に1回の実施が必須です。
実施を怠った場合、火災の発生や、作業者の健康被害のリスクが高まりますので、確実に実施するようにしましょう。
局所排気装置でお困りであれば、ミドリ商会までお気軽にお問い合わせください。
定期自主検査の代行、作業環境測定の実施、新しい設備の紹介など、トータルでサポートいたします。