塗料による社会的影響を考えよう!VOCとCO2の削減方法を解説
「VOCやCO2の排出量を減らせと言われているけど、なんで減らさないといけないの?」と考えている方もいるかもしれません。
VOCは大気汚染、CO2は地球温暖化に深く関わる社会的影響が大きい物質です。
SDGsやカーボンニュートラルを進めるためにも、VOCとCO2の削減は必須だといえます。
本記事では塗装事業者が検討できるVOCとCO2の削減方法についてわかりやすく解説していますので、詳しく知りたい方は必見です。
目次
塗料による2つの社会的影響
塗料による社会的影響は、大きく分けて以下の2つです。
- VOCの排出
- CO2の排出
塗装事業者は2つの社会的影響を念頭に置く必要があります。
「SDGs」や「地球温暖化」がキーワードの塗料による2つの社会的影響について、まずは概要を確認していきましょう。
VOCの排出
VOCとはVolatile Organic Compoundsの略であり、揮発性有機化合物の総称です。
簡単に言えば、石油由来の揮発成分のことであり、キシレンやトルエンなど塗料の希釈に使われるもののほとんどはVOCとなります。
VOCは光化学スモッグやPM2.5など大気汚染の原因となる社会的影響が大きい物質です。
VOCの年間排出量が1t以上の事業者には、国に排出量を報告することが義務付けられています。(PRTR法=化学物質管理促進法)
塗料はNV(Non-VOC=乾燥後の塗料分)とVOCから構成されているものが多く、乾燥させることでVOCのほとんどが大気中に排出されます。
CO2の排出
CO2は皆さんもご存知のとおり二酸化炭素のことです。
地球温暖化の主な原因である温室効果ガスの大半はCO2であり、世界全体でCO2の排出量削減が課題となっています。
近ごろよく耳にする「カーボンニュートラル」はCO2の削減と、植林や森林管理によるCO2の吸収量増加によって、CO2の排出を実質ゼロにする取り組みのことです。
塗料自体にCO2は含まれていませんが、塗装の工程では多くの電気やガスを使用します。
中でも高温の加熱炉を使用する塗装乾燥は、CO2を多く排出してしまう工程です。
塗装事業者が果たすべき社会的責任
SDGsや地球温暖化の防止が叫ばれる今日では、私たち一人ひとりの行動が大切です。
塗装事業者においては、少しでもVOCとCO2の排出量を下げる取り組みを検討して実行することが社会的責任といえます。
企業活動なので、自社の利益を圧迫してまで取り組むことは難しいと思いますが、できることから少しずつ変えていくという意識を持つことで、持続可能な社会の実現に近づけるはずです。
塗装事業でVOCを減らす方法
塗装事業でVOCを減らすためには、塗料の種類を変えるのが効果的です。
- 水性塗料:溶媒が水
- 粉体塗料:揮発成分を含まない
- ハイソリッド塗料:NV値が約80%
これらの塗料に切り替えることで、VOCの排出量を劇的に抑えることができます。
しかし、水性塗料や粉体塗料への変更は高額な設備投資、ハイソリッド塗料への変更は作業性の悪化など、切替によるネックがあるのも事実です。
いきなり全ての塗料を変更するのは現実的ではないので、例えばタッチアップ工程の塗料だけ水性塗料に変えるなど、少しずつ変更していくのも1つの方法だといえます。
塗装事業でCO2を減らす方法
塗装事業で最も多くCO2が排出される乾燥工程を見直すことで、CO2の排出を減らせる可能性があります。
- 乾燥炉の温度条件を見直す
- ウレタン樹脂塗料など乾燥温度の低い塗料に切り替える
仮に下塗りと上塗り後それぞれで乾燥炉を使用している場合は、温度条件を見直しすることで、1つの乾燥炉にまとめられるかもしれません。
焼付塗装で多く使用されるメラミン樹脂塗料は乾燥温度が約120℃と高温ですが、ウレタン樹脂塗料に変えることで乾燥温度が約80℃になるので、その分CO2の削減に貢献するでしょう。
【SDGs】VOCとCO2を減らして循環型社会を目指しましょう
SDGsの観点からも今後塗装事業者には、VOCとCO2の排出量削減が求められることが予想されます。
生産効率を上げて利益を上げることはもちろん大事ですが、10年後や30年後の未来のことを考えて循環型社会を塗装業界全体で目指すことも大切なのではないでしょうか。
ミドリ商会では、VOCやCO2の排出量削減に貢献できる塗料や塗装設備のご提案を積極的に行っています。
気になる方はお気軽にお問い合わせください。